コラム

古い家は、全改修か建替えか?

こんにちは、ハウジング山一です。
最近、建築費の高騰が続いています。ご実家の土地に新たに家を建てる・使っていない古い木造住宅を活用するという選択肢が、これまで以上に現実味を帯びてきました。そうしたなか、「この古い家を全面リフォームした方がいいのか、それとも思い切って建替えた方がいいのか」という悩みを持つ方が増えているのを日々感じています。

今回は、今だからこそ検討したい家づくりの選択として、気になる「費用面」の違いに焦点を当てて、全改修と建替えの違いや注意したいポイントをお伝えします。

●全改修と建替えで大きく違う点

はじめに、木造住宅の「全改修(フルリノベーション)」「建替え(新築)」で大きく異なる点として、「地盤調査の有無」を挙げたいと思います。
新しく家を建てる場合(=建替え)は、瑕疵担保履行法の規定により、必ず予定地で地盤調査を行う必要があります。調査の結果によっては地盤改良工事が求められ、その費用が建築費とは別に発生する可能性があります。
一方、全改修の場合は、既存の基礎を一部残すケースが多く、地盤調査自体を実施できないことも多いです。そのため、地盤改良工事の費用が追加で発生することはまずありません。 ただし、この点がのちほど紹介する「地盤の傾きリスク」にも関係しますので覚えておいてください。

●解体費について

解体費も、意外と見落としがちな比較ポイントです。
建替えの場合はすべて撤去するため一気に解体できますが、全改修では基礎や柱や梁といった主要構造部分を残しながら工事を進めます。そのため「廃棄物の量は全改修の方が減るため、費用が抑えられそうだ」と感じるかもしれませんが、残すことを考えながら慎重な解体が必要になるため、職人さんの手間賃がかさむ傾向があります。
結果として「全解体」と「構造を残しての部分解体」では、総額が大きく変わらない場合が多いです。

●建築費について

建築費については「全改修のほうが安い」と思われがちですが、実はそう単純な話でもありません。
まず、材木や新たな構造材の購入が新築より少ないため、材料コストは抑えられます。ただし、築年数が古い住宅の場合、基礎が現代の「ベタ基礎」ではなく「布基礎」であるケースがほとんど。この布基礎では耐震性能が不十分なことが多いため、高い耐震性を確保するには、ベース部分への鉄筋補強やコンクリート打設、そして地中の余分な土の撤去など、追加工事が必要になります。また、間取りを大きく変える場合には、新たな基礎の構築も必要です。
こうした追加工事の積み重ねの結果、思っていたほど全改修の建築コストが割安にならず、「実質新築と変わらないくらいの費用がかかる」こともめずらしくありません。

●気をつけたい「地盤の傾き」

古い家の全改修を選ぶ場合、最も注意したいのが前述した「地盤による建物の傾き」です。 新築の場合は必ず地盤調査を行い、問題があれば地盤改良をします。加えて、現代の住宅は基礎全体をコンクリートで一体化する「ベタ基礎」が標準なので、建てた後に傾くケースはほとんどありません。しかし、布基礎しかない古い家の場合、もともと地盤が弱かったり長年の間に沈下していたりして、家自体が傾いていることがあります。
もし傾きが大きい場合は、基礎に大きなヒビが入っていたり、基礎そのものにズレが生じていたりすることも…。こうなると、補修や改修では対応しきれないので、弊社としては建替え以外の選択肢をおすすめできません。

●全改修と建替え、選択のポイント

以上が、全改修と建替えの違いになります。
結論から言うと、「家に特別な思い入れがある」「外観や雰囲気をどうしても残したい」場合を除いて、間取りを大きく変えたい方や、耐震・断熱性能も最新基準でしっかり強化したい方には、建替えをおすすめします
全改修も、上記の基礎や地盤に問題がなく、費用や思い入れのバランスが取れる場合には良い選択だと思いますが、費用面で劇的な差は生まれにくいというのがハウジング山一の実感です。

「この家を残して再生したい!」「住み替え・二世帯住宅にしたいけれど、既存住宅の活用も視野に入れたい」という方は、まずご自身で水準器などを使って「傾き」がないかチェックしてみてください
もし気になる傾きがある場合は、専門業者に点検を依頼し、基礎の状態も併せて確認することをおすすめします。家屋の状態を調べたうえで「費用」や「将来の家族構成」も視野に入れ、全改修と建替え、どちらが最適かを考えてみてください。

ハウジング山一では、ご自宅やご実家の状態調査から、リフォーム・建替えのご相談まで、お施主様に合った家づくりをサポートしております。「わが家は全改修で大丈夫?」「建替えのほうが本当にいい?」など、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

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