コラム

家づくりのコスト削減法【④建築・前編】

こんにちは、ハウジング山一です。

家づくりのコストを抑える方法にはいくつかあります。
多くの方がまず思い浮かべるのは「材料のグレードを下げること」ですが、実際にはその効果は限定的です。床材や断熱材などを安価なものに置き換えても、予想ほどコストは下がらず、場合によっては性能面や快適さに影響が出ることも少なくありません。

そこで私たちがおすすめしているのは「面積を見直す」という考え方です。面積を無理に増やさず、不要なスペースを削って合理的な間取りを組むことで、建築費を大幅に削減することができます。

今回は「廊下」「階段」といった、意外と無駄になりやすい空間に注目し、効率よくコストを下げながら住み心地を損なわない住まいづくりの考え方をご紹介します。

●建材のグレードダウンだけでは不十分

コスト削減と聞いて真っ先に思いつくのは、仕上げ材や設備を安価なものに変更する方法です。しかし、床材を無垢材から合板に変えても、価格は期待したほど下がらないことが多く、場合によっては性能差や快適性が犠牲になります。断熱材についても同じで、カタログ数値は似ていても、実際に暮らしてみると「体感温度」が違うことがあります。これではせっかくの高性能住宅がもったいないですよね。
つまり、単なる建材のダウングレードによるコスト削減は、満足度を下げてしまうリスクがあり、根本的な解決策にはなりにくいのです。

●面積を減らすことこそ最大のコスト削減

住宅のコストは「面積」に比例します。坪数が減れば基礎・構造材・屋根・内装といったすべての工事費用を一括して削減できるからです。つまり、建築費を抑えるためには、まず無駄なスペースを見直すことが有効です。
とはいえ「面積を減らす=狭くて使いにくい」と考える方も多いでしょう。実際には、間取りの工夫次第で快適さを維持しながら無駄なスペースを削減することは可能です。ポイントは「欲しい暮らしに必要ない空間を排除する」ことにあります。

●真っ先に削りたいのは「廊下」

家の中でもっとも代表的な「必要そうに見えて実はなくても困らない空間」が廊下です。ほとんどの人は「廊下が欲しい」と強く希望することはありませんが、従来型の間取りでは当たり前のように廊下が作られています。
しかし廊下も部屋と同じように基礎・床・壁・天井・屋根が必要で、コストがかかります。そのうえ「ただ通るだけ」で生活に直接寄与しない空間です。また、廊下があると室内ドアの本数も増え、ドア1枚あたり7〜8万円というコストアップ要因にもつながります。

さらに問題なのが快適性の低下です。廊下部分が空気の通り道を遮断し、せっかくの高断熱・高気密住宅であっても冷暖房が家全体に行き渡らなくなります。理想的な高性能住宅は室温のムラが少ないものですが、廊下があることでその強みが損なわれてしまうのです。

●「階段」という大きなコストの存在

廊下と同じく、出来れば避けたいのが階段です。2階建てにすると必ず階段が必要になり、その分の施工費用が掛かるのはもちろん、階段は廊下よりさらに面積を取るため無駄が大きくなります
また、階段があることにより上下階の温度差が発生しやすくなります。これは快適性を損なうだけでなく、空気循環のために高額な全館空調システムなどを導入せざるを得なくなる場合もあります。結局、快適な2階建てを実現するためには余計な設備投資が必要となり、コスト削減どころか逆に費用が膨らんでしまうのです。

●廊下を減らすために「平屋」を検討する

廊下や階段の無駄をなくす一つの答えが「平屋」です。平屋であれば上下移動は不要になり、階段の分のコスト削減が可能です。さらに、部屋を効率的につなげる設計を行えば、廊下スペースを最小限に抑えることができます。 シンプルでコンパクトな動線の平屋は、無駄が少なく面積を抑えられるため、建築コストだけでなく光熱費やメンテナンス費用も軽減できるのが大きな魅力です。

●「小さくても豊かに暮らせる」設計思想

「面積を減らすと収納が足りないのでは?」「狭くて窮屈になるのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。しかし、廊下や階段といった「使わない空間」を省き、その分を収納や居室に充てれば、生活の質を落とすことなくコスト削減が可能です。 大切なのは「大きな家こそ正解」という思い込みを捨て、必要な面積を的確に見極めること。過剰な広さではなく、家族に合ったサイズの住まいこそ、長期的に安心して暮らせる住まいにつながります。

建築コストを本気で抑えるなら、素材のランクを落とすより「面積のスリム化」が効果的です。特に廊下や階段といった「なくても困らない空間」は積極的に排除すべきポイントです。平屋を基本に設計することで、無駄なスペースを削りながら快適性とコスト削減を両立できます。家づくりで大切なのは「広さ」ではなく「暮らしやすさ」。本当に必要な面積を見極め、家族にとって最適なサイズの住まいをつくることが、賢いコスト削減につながります。

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