収納は多いに越したことはないって本当?

こんにちは、ハウジング山一です。
お施主様と家づくりの打ち合わせをするとき、「収納をたくさんつくってほしい」と言われることがとても多いと感じています。
収納が足りず、部屋に物があふれてしまう状態を想像すると、この結論に至ってしまうのは大変良く分かります!
しかし、収納をたくさんつくるほど建築コストも上がってしまう(家の面積が大きくなるため)、もしくは家族の過ごすスペースが狭くなる(限られた広さで収納を優先するため)ということが起こってしまいます。
今日は、収納はつくり過ぎにも注意した方がいいというお話です。
不用意にコストを上げることなく、十分な収納量を備えた家づくりの考え方として、ぜひ最後までお付き合いください。
●床ではなく壁で考える

1つの収納にどれだけ物を収めることができるかは、床の面積よりも壁の面積が大きく影響します。例えば、2帖の収納スペースの床は1.69m×1.69mという広さが一般的ですが、このスペースの壁をどう使うかによって、収納量が違ってきます。
上記のように空間が正方形の場合、全部で4面ある壁のうち、2面を使うように収納スペースをつくると(例:2方向から入れるウォークスルークローゼット)、1.69m×壁の高さ×2面が壁面のおおよその収納量です。入口が1つのウォークインクローゼットなら、1.69m×壁の高さ×3となり、1.5倍になります。
このように、収納を考える際は、単純に広さだけを見るのではなく、スペース内の壁面をどれだけ有効活用できるかに着目すると、効率よく収納スペースの数や広さを考えることができると思います。
●人気の回遊動線に実は落とし穴が

そして、この方法で収納スペースのことを考えると、いかに回遊動線が収納スペースの確保に影響しやすいかが見えてきませんか?
回遊=突き当たらずに通り抜けられるということは、その通路に面した壁のうち最低2面は使えないからです。さらに、その通路に他の動線が交わる場合はもう1面が使えなくなるため、壁面の収納量は大幅にダウンしてしまいます。
先ほどの2帖の収納の場合を回遊動線に当てはめて考えると、4面ある壁のうち1面しか使えなくなるということで、面積で考える1帖の収納と同じ容量しかないことになります。
2帖の収納は1帖の収納より30〜40万円多くコストがかかる計算になるため、回遊動線は収納の量とコストの面ではデメリットになってしまうのです。
●収納に限らず部屋にも壁が必要

さらにこの考え方は 収納だけでなく部屋にも同じことが言えます。
一般的に4面ある部屋の壁のうち、1面には入口のドアを、もう1面にクローゼットをつくり、残りの2面それぞれに窓をつくった場合、その部屋には全体を使うことができる壁がなくなってしまいます。
その結果、クローゼットに収納しない・できない物の配置が難しくなり、模様替えのバリエーションも少なくなります。コンセントの位置が限られてしまうのも、ストレスになりますよね。
このようなことから、私たちは間取りを考えるとき、いかに効果的に使うことができる壁をつくるのかも意識しています。そのため、最小限の窓で採光と風通しが確保できる間取りがかなり得意になりました!
また、壁が増えることで、収納量や使いやすさが安定するだけではなく、耐震効果や断熱効果もアップするため、とても大切な項目だと考えています。ぜひ、収納は「床」ではなく「壁」が重要であることを知っておいてください。