こんにちは、ハウジング山一です。
家づくりを進めるとき、多くの方が「建築費」にしっかりと目を向けます。しかし、もうひとつ大切な要素として「外構費」があることをご存じでしょうか。
建築本体の工事に意識が集中してしまい、外構工事に割く予算を甘く見積もってしまうと、後々大きな負担に直面してしまうことがあります。
実際、建築業界を見渡してみると「家本体の予算を優先したい」と考える傾向があり、外構費用を少なめに見積もって提案することも少なくありません。しかしそうした場合、思い描いていた外構工事が叶えられずに妥協を迫られるか、あるいは追加融資・貯金の取り崩しなどで不足分を補わざるを得ないという事態も起こり得るのです。
だからこそ、資金計画においては「外構費をいかに正しく配分するか」が、予算オーバーを防ぐための重要な鍵となります。
●外構費は家によって変わる

ここで知っておいていただきたいことは、外構費用は「どんな家を建てるか」によって変わるということです。間取りや窓の配置、外観のデザインなどによって外構に必要な工事やコストが大きく左右されます。
たとえばウッドデッキやタイルデッキ。一般的には外構工事に分類され、予算を計上する対象になる工事ですが、中庭がある家でそのスペースにデッキを施工する場合は、建築工事に含まれることもあります。この違いだけで50〜100万円程度、建築費と外構費の配分が変わってきます。
また、外構予算が大きく変動するポイントの一つが「目隠し工事」です。
周囲から丸見えの場所にデッキを設けるのであれば、安らげる空間にするために目隠し塀やフェンスが必要になります。これらを整えるとさらに100万円以上かかるケースも少なくありません。
つまり、建築計画の段階でウッドデッキを検討している場合、外構費用を併せてしっかり見込んでおかないと、いざ工事段階に入ってから大きな予算の狂いが生じるのです。
●中庭のある家とない家の違い

外構費用に影響を与える大きな要素の一つが「採光計画」と「防犯性」です。中庭のある家は、家の中心部から十分な採光を得ることができるため、外周部に大きな窓を設ける必要がありません。
結果的に、外構において塀や植栽などを使って防犯性を高める工事をほとんどしなくても安心して暮らすことができます。そのため、中庭のある住宅は防犯関連の外構費を抑えることができます。
一方で、外周部の窓から採光を確保している家はどうでしょうか。
窓の位置や形状によっては、間取りや生活の様子が外から推測できてしまいます。これではプライバシーや防犯面で不安が残ります。そのため、塀やフェンス、アプローチ、植栽などを活用して外からの視線を遮る工事が欠かせなくなります。
この差によって、中庭のある家とそうでない家とでは少なくとも150万円、多い場合は200万円以上の外構費用の差が生じます。
●外構費は土地条件にも左右される
外構費用を大きく左右する要素は家の仕様だけではありません。土地の条件もまた大きな影響を与えます。
たとえば、購入した土地にすでに隣地との境界部分に境界ブロックがなければ、新たに工事を行う必要があり、その分工事費が追加されます。
さらに、広い土地を購入した場合も要注意です。広ければ広いほど境界の距離が長くなり、外構工事にかかる面積が増えます。そのうえ「草抜きが大変だから全てコンクリートにしたい」と考えると、費用はもっとかかります。
つまり、土地を選ぶ段階から外構にかかるコストを意識することが、無駄な出費を防ぐ大切なポイントなのです。
また設計時に無駄な余白を作ってしまうと、それがそのまま外構工事の負担になります。建物配置や間取りの工夫によって外構費用を大幅に抑えることも可能ですので、設計段階でしっかり検討しましょう。
●資金計画で外構を見落とさないために

ここまでお話ししてきたように、外構工事の費用は建物の仕様や土地条件によって大きく変わります。そのため、資金計画を立てる際には「建物の金額」だけに注目するのではなく、外構まで含めて総合的に予算を組むことが大切です。
これを怠ってしまうと、建物の工事が終わった後に「思い描いていたような外構ができない」「どうしても追加費用が必要になった」という現実に直面することになります。
逆に最初からしっかり配分しておけば、外構業者との打ち合わせもスムーズに進み、ストレスなく理想の住まいづくりを完成に近づけることができます。
家づくりを考えるとき、多くの方は建物そのものに目を向けがちですが、実際の住み心地や暮らしの満足度を大きく左右するのは「外構」でもあるのです。
家の間取りやデザインによって外構費は変わります。上記のポイントを理解し、資金計画の段階から外構予算を正しく見積もっておくことが、予算オーバーを防ぎ、理想の暮らしを実現するための近道です。
ぜひ、これから家づくりを始める方には、建物と外構を切り離して考えるのではなく、一体としてとらえる考え方を知っていただければと思います。そうすることで、住まいと庭・外構が調和した、美しい家づくりが実現できるはずです。